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住宅改修の受領委任払いに対応している自治体はどこか

調査対象:政令指定都市20市+中核市62市+東京都特別区23区(計105自治体・悉皆) / 確認日:政令市 2026-08-22・中核市 2026-08-28・特別区 2026-08-29

結論から。介護保険の住宅改修は、原則としていったん工事費の全額を立て替える方式(償還払い)です。 「受領委任払い」に対応している自治体なら自己負担分(1〜3割)だけを払えば済みます。 20万円の工事なら、用意する現金が20万円か2万円かの差になります。 ただしこの制度は全国どこでも使えるわけではありません。そして自治体によって呼び方が違うため、「受領委任払い」で検索しても自分の自治体の制度が見つからないことがあります。

全国の導入率は、保険者ベースで64.2%

全国の導入状況について、総務省が調査した数字があります。 総務省中部管区行政評価局「介護保険住宅改修費等の受領委任払いの導入に関する情報収集結果」(令和5年3月)によると、住宅改修費の受領委任払いを導入している保険者の割合は、全国平均で64.2%でした。

つまりおよそ3分の1の保険者は導入していません。同じ資料では、導入済みの保険者における利用割合は住宅改修費で75.1%、福祉用具購入費で88.5%(令和3年度)とされています。 導入されていれば、多くの人が実際に使っているということです。

未導入の理由として、調査対象となった10保険者中8保険者が 「(介護保険法上)原則償還払いとされていること」を挙げていました。 総務省はこの結果を踏まえ、厚生労働省が受領委任払いの導入についてより一層周知に取り組むことが望ましいと提言しています。

この総務省の数字は保険者(市町村・広域連合)の単位での導入率です。 人口の多い自治体ほど導入している傾向があるため、人口ベースで見れば、実際に使える人の割合はこれより高いと考えられます。 実際、当サイトが調べた105自治体のうち103自治体で対応を確認できました。 これは人口の多い自治体に偏った母集団なので、全国平均64.2%との差はそのまま「人口規模による差」と読めます。

当サイトが調べた105自治体の結果

区分調査数対応を確認できた数詳細
政令指定都市20市(全市)20市(全市)政令市20市の内訳を見る
中核市62市(全市)60市中核市62市の一覧を見る
東京都特別区23区(全区)23区東京23区の内訳を見る
合計105自治体103自治体元データの提供について

このページは「住宅改修」の対応状況です。同じ介護保険でも、福祉用具購入費(上限 年10万円)の受領委任払いは別の運用になっています。 住宅改修では対応している自治体が、福祉用具購入費では対応していない例が実際にあります (横浜市は福祉用具購入費について「現物給付化を行っていません」と明記)。 住宅改修では103自治体で対応を確認できましたが、福祉用具購入費で確認できたのは87自治体にとどまります。福祉用具購入費の対応状況は別ページにまとめました。

政令指定都市20市・東京23区は、すべてで対応を確認できました。中核市62市でも60市で確認でき、公式サイトで受領委任払いを確認できなかったのは富山市・岐阜市の2市だけでした。

富山市は「償還払いのみ」と明記しています。住宅改修費のページに「住宅改修費は、自分で費用をいったん全額立て替えて支払い、後で払い戻しを受ける償還払いとなります」とあります。 岐阜市は支給限度額と自己負担割合の記載はあるものの、支払方法についての記述自体を確認できませんでした。ただし「確認できず」は制度が存在しないことの証明ではありません。実施要綱や事業者向けページに規定がある可能性は残ります。窓口でのご確認をおすすめします。

最大の落とし穴は、呼び方が統一されていないこと

105自治体を調べて、いちばん実害が大きいと感じたのがこれです。 同じ仕組みに対して、確認できた範囲で18通りの呼び方がありました。 そのうち10自治体は「受領委任」という語すら使っていません。自分の自治体のサイトで「受領委任払い」を検索しても、該当ページには到達できないということです。

自治体が使っていた語数使っていた自治体
受領委任払い53仙台市・さいたま市・横浜市・新潟市・浜松市・京都市 ほか47自治体
受領委任払11千葉市・堺市・岡山市・青森市・豊中市・枚方市 ほか5自治体
受領委任払い方式10札幌市・名古屋市・中央区・函館市・宇都宮市・長野市 ほか4自治体
受領委任払い制度8川崎市・杉並区・豊島区・葛飾区・横須賀市・松本市 ほか2自治体
給付券方式3大阪市・台東区・荒川区
受領委任払方式3千代田区・江戸川区・柏市
代理受領2静岡市・郡山市
給付券2文京区・長崎市
受領委任払制度2盛岡市・秋田市
受領委任払い用1相模原市
代理受領払い方式1大田区
代理受領方式1北区
介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費受領委任払制度1旭川市
受領委任方式1福島市
現物給付1大津市
受領委任払用1下関市
介護保険給付費受領委任払い制度1松山市
受領委任制度1大分市

静岡市・郡山市は「代理受領」、大阪市・台東区は「給付券方式」、文京区・荒川区・長崎市は「給付券」、大津市は「現物給付」と案内しています。これらの自治体のサイトで「受領委任払い」を検索しても、該当ページには到達できません。 さいたま市は利用者向けには「受領委任払い」、事業者向けには「代理受領取扱事業者」と、同じ自治体の中で語を使い分けています。 寝屋川市は令和7年9月9日受付分から「給付券方式」を「受領委任払い方式」に切り替えており、同じ自治体でも時期によって呼び方が変わります。

窓口での聞き方

制度名で尋ねると「ありません」と言われることがあります。仕組みで尋ねてください。

「住宅改修の費用を、最初から自己負担分だけ払う方法はありますか」

これなら、その自治体が何と呼んでいても伝わります。 あわせて「使える場合、どの書類がいつ必要になりますか」まで聞いておくと、着工前の段取りが決まります。

自治体が対応していても、業者が登録していないと使えません

ここが見落とされやすい点です。受領委任払いは自治体と施工業者の両方の条件が揃って初めて使えます。

105自治体のうち65自治体が、事業者が自治体に事前登録・協定締結していることを条件にしていました。 さらに13自治体は、登録の条件として「自治体が実施する研修・講習の受講」まで求めています。

自治体研修・講習の条件
さいたま市説明会の受講が必要
千葉市説明会の受講が必要
横浜市市主催の研修を受講
大阪市市が開催する登録時研修会の受講
広島市改修工事を行う前年度に市が実施する研修を受講
北九州市市の研修を受講
杉並区杉並区が行う登録事業者を対象とする研修会等に参加すること。登録には「申請日から過去1年以内に杉並区の償還払い制度による住宅改修等を実施していること」も必要
いわき市受領委任払の事業者登録については年1回となり、年度末に行う研修会に参加してもらうことが要件になります(新規・更新のいずれの場合も)
柏市必ず事前に『受領委任払の手引き』の内容確認と講習動画の視聴を行った上で申請してください(更新申請時も同様)
八尾市平成27年度より、住宅改修受領委任事業者の登録には『市が実施する研修会の受講』が必要。研修会に参加していない事業所は住宅改修費の支給が『償還払い』となる
寝屋川市事業所の登録にあたっては市が実施する研修を受講する必要がある。今年度の研修はこの1回のみ、1事業所につき1名
東大阪市市が実施する研修会の受講が必須。登録有効期間は暦年(1月1日〜12月31日)単位で、前年11月ごろの研修会を受講してから申請する
久留米市平成25年4月から、市が開催する講習会を受講し、介護保険住宅改修費受領委任払い取扱事業者名簿に登録された住宅改修事業者に限り、受領委任払いを行うことができる

広島市と東大阪市は「前年度(登録前年)の研修」が条件です。今年度になってから業者が登録を始めても、今年度の工事には間に合いません。 寝屋川市は研修が年1回・1事業所につき1名まで、久留米市は登録申請の締切が2月末です。業者選びの段階で「うちの市の研修は受けていますか」と確認してください。

逆に福岡市・水戸市・前橋市・岐阜市・豊橋市・高松市・高知市は 「指定はありません」「登録は不要」といった趣旨を明記していました。 ただし呉市のように「業者の登録は行っていません」と書きながら、受領委任払いには別途『市との協定』が必要な自治体もあります。 住宅改修全般の話と、受領委任払いの条件は別に読む必要があります。

相見積もりを取る段階で、「受領委任払いに対応していますか」と業者に確認してください。確認すべき項目は業者選びで見るべき5つの基準にまとめています。

調査方法と、この調査の限界

  • 母集団は政令指定都市20市の全市・中核市62市の全市・東京都特別区23区の全区です。抽出やサンプリングはしていません。
  • 政令指定都市と中核市は、市の公式サイトの該当ページ本文・様式・手引きPDFを直接読み取りました。 各自治体のページに、実際に読んだURLを出典として掲載しています。
  • 事業者の登録要件は、市民向けページではなく事業者向けページにしか書かれていないことがあります。金沢市の「石川県バリアフリー住宅改修事業者の認定を受けている事業者に限ります」は、 市民向けの案内ページには一切登場せず、事業者向けの申請書ダウンロードページにのみ記載されていました。 市民向けページだけを見て「登録は不要」と判断すると誤ります。
  • 東京23区は、区の公式サイトの仕様により本文を直接取得できた区が限られ、6区は本文、残りはページ名・様式名までの確認にとどまります。
  • 制度の呼称は、自治体が使っている表記をそのまま転記しています。読みやすさのための言い換えはしていません。
  • 「記載を確認できず」は「制度がない」ではなく「今回の読み取り範囲では確認できなかった」という意味です。事業者の登録要件と利用者側の条件は、市民向けページではなく実施要綱や手引きのPDFにしか書かれていないことが多いため、 中核市62市と東京23区については、事業者向けページ・手引きPDF・様式ダウンロードページまで当たって読んでいます。 それでも北区・江戸川区・横浜市のように、手引きに相当する文書を公開していない自治体では記載を確認できない項目が残ります。
  • 大阪市の「給付券方式」は、機能は同等と読めますが市は住宅改修で「受領委任払い」という語を使っていません。呼称と機能を同一視しないでください。
  • 新潟市は要確認扱いです。HTMLの案内ページに受領委任払いの記載がなく、リンク先のPDFにのみ記載がありました。
  • 制度は改正されます。岡山市は令和6年8月に開始、熊本市は受託事業所の条件変更の履歴がありました。上記の確認日時点の情報です。

実際に利用するときは、必ずお住まいの市区町村の介護保険担当課にご確認ください。この一覧は制度の有無と条件の所在を示すもので、個別の申請が認められることを保証するものではありません。

このデータの引用について

出典として当サイト名とこのページへのリンクを書いていただければ、数値や要点の引用は自由です。事前のご連絡も不要です。報道・研究・自治体の資料・ケアマネジャー向けの説明資料などでお使いください。

出典:介護リフォームの費用ガイド「住宅改修の受領委任払いに対応している自治体はどこか」(2026-08-22時点)
https://kaigo-reform-guide.com/data/juryoinin-taiou/

調査対象:政令指定都市20市(悉皆)+中核市62市(悉皆)+東京都特別区23区(悉皆)=105自治体

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