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介護リフォームの費用相場とは?箇所別の目安と介護保険20万円の使い方

公開日:2026年8月16日最終更新:2026年9月2日カテゴリ:完全ガイド

介護リフォームの費用を調べはじめると、最初に戸惑うのが金額の幅の大きさです。「手すり設置 2万円〜」と書いてあるサイトもあれば、「介護リフォーム 200〜300万円」と書いてあるサイトもあります。

どちらも間違いではありません。前者は手すり1本の工事費、後者は戸建て全体をバリアフリー化した場合の総額を指しているからです。同じ「介護リフォーム」という言葉が、まったく違う規模の工事を指して使われているため、相場がつかめなくなります。

この記事では、費用を工事1か所ごとに分解したうえで、介護保険の住宅改修費(上限20万円)がどこまでをカバーするのかを整理します。最後に、実際によくある3パターンの総額シミュレーションも載せています。

介護リフォームの費用は「工事単位」で考える

介護リフォームは、家全体を一度に作り変えるものではありません。実際に多いのは、困っている場所を1〜3か所だけ直すというやり方です。

図:介護リフォームの費用は「1つの工事」の積み上げでできている

8万手すり2か所12万段差解消玄関・廊下15万床材変更浴室25万浴槽交換保険対象外総額60万円の内訳例。保険が使えるのは左の3つ(35万円)だけで、支給されるのは上限20万円のうち1〜3割を除いた額 手すり8万2か所段差解消12万玄関・廊下床材変更15万浴室浴槽交換25万保険対象外総額60万円の内訳例。保険が使えるのは左の3つ(35万円)だけで、支給されるのは上限20万円のうち1〜3割を除いた額
「介護リフォーム一式でいくら」という見方をやめ、工事1つずつに分解すると、どこまでが保険で、どこからが自己負担かが判断できるようになります。

そのため費用を把握するときは、「介護リフォームはいくら」ではなく、「手すりを廊下に付けるといくら」「浴室の段差をなくすといくら」という工事単位で見るのが正確です。

工事別の費用一覧

工事の種類 費用の目安 介護保険 工事日数
手すりの取り付け(1か所) 2万〜15万円 対象 半日〜1日
敷居の撤去・段差の解消 1万〜20万円 対象 半日〜2日
屋外スロープの新設 15万〜45万円 対象 2〜5日
床材の変更(滑り防止・畳→フローリング) 5万〜25万円 対象 1〜3日
引き戸への交換(開き戸→引き戸) 10万〜60万円 対象 1〜2日
和式便器 → 洋式便器 15万〜50万円 対象 1〜3日
浴室の部分改修(手すり+床材+段差) 20万〜50万円 対象 2〜5日
浴室のユニットバス入替 60万〜150万円 一部のみ 4〜7日
洋式便器 → 洗浄便座付きへ交換 8万〜20万円 対象外 半日
階段昇降機の設置 40万〜100万円 対象外 1〜2日
段差解消機・リフトの設置 30万〜100万円 対象外 1〜3日
ホームエレベーターの設置 300万円〜 対象外 2〜4週間

金額に幅があるのは、住宅の構造(木造か鉄筋か)、下地の状態、施工地域、使う製品のグレードによって工事の手間が変わるためです。同じ「手すり1本」でも、下地補強が必要かどうかで倍以上変わります。

「一式」の見積書には注意する

見積書が「介護リフォーム工事一式 180,000円」のように書かれている場合は、内訳を出してもらってください。20万円の枠にちょうど収まる金額は、逆算して作られている可能性があります。箇所ごとの単価と数量が分かれていなければ、他社と比較することもできません。

介護保険で支給されるのは「20万円のうち1〜3割を除いた額」

介護リフォームの費用を考えるうえで中心になるのが、介護保険の住宅改修費の支給です。要支援・要介護の認定を受けている方が対象で、支給限度基準額は1人につき20万円とされています。

図:20万円の工事をしたときに、実際に戻ってくる金額(1割負担の場合)

18万円保険から支給2万円自己負担20万円は「もらえる金額」ではなく「保険が計算に使う上限額」。負担割合が2割なら16万円、3割なら14万円の支給になります 保険から支給18万円自己負担2万円20万円は「もらえる金額」ではなく「保険が計算に使う上限額」。負担割合が2割なら16万円、3割なら14万円の支給になります
ここを誤解したまま工事範囲を決めると、想定より数万円多く自己負担が出ます。負担割合は介護保険負担割合証で確認できます。

ここで誤解が多いのが、「20万円がもらえる」わけではないという点です。正確には次のようになります。

  • 対象となる工事費のうち、20万円までが支給の計算対象
  • そのうち、所得に応じた自己負担割合(1割・2割・3割)を除いた額が支給される
  • 20万円を超えた部分は、全額自己負担

自己負担割合別の早見表

工事費 1割負担 2割負担 3割負担
10万円 自己負担 1万円 2万円 3万円
15万円 1.5万円 3万円 4.5万円
20万円 2万円 4万円 6万円
30万円 12万円 14万円 16万円
50万円 32万円 34万円 36万円

20万円を超えた瞬間に自己負担が跳ね上がるのが分かります。30万円の工事なら、超過した10万円は全額自己負担なので、1割負担の方でも自己負担は2万円+10万円=12万円です。

この20万円のラインを意識して工事を組み立てられるかどうかが、費用を抑える最大のポイントになります。

着工前の申請が必須です。 介護保険の住宅改修は、工事を始める前に市区町村へ申請し、承認を受ける必要があります。先に工事をしてしまうと、後から申請しても支給されません。急ぎの場合ほど、この順番を間違えないようにしてください。詳しくは申請の流れの記事で解説しています。

20万円は分割して使える

20万円は一度に使い切る必要がありません。8万円の工事をしたあと、残りの12万円分を別の時期に使うことができます。回数の制限もありません。

時期 工事内容 使った額 残り
1回目 廊下とトイレの手すり設置 6万円 14万円
2回目 浴室の段差解消と床材変更 9万円 5万円
3回目 玄関の手すり設置 5万円 0円

身体状況は改善することも悪化することもあり、予測が難しいのが介護リフォームの特徴です。先回りして20万円を一度に使い切ると、必要なときに枠が残っていないという事態になります。

なお、要介護状態区分が3段階以上上がった場合と、転居した場合には、あらためて20万円の枠が設定されます。条件は20万円のリセットの記事で整理しています。

箇所別に見る費用の目安

手すりの取り付け(2万〜15万円)

図:箇所別の費用レンジ(横棒が長いほど、見積もりが振れやすい工事)

0万30万60万90万120万150万手すりの取り付け2〜15万段差の解消1〜45万床材の変更5〜25万トイレ2〜50万玄関・出入口3〜60万浴室20〜150万 0万30万60万90万120万150万手すりの取り付け2〜15万段差の解消1〜45万床材の変更5〜25万トイレ2〜50万玄関・出入口3〜60万浴室20〜150万
浴室と玄関はレンジが極端に広く、同じ「浴室の工事」でも部分改修と全面改修で7倍以上の差が出ます。まず自分がどちら側かを決めることが、相場を読む最初の一歩です。

最も件数が多い工事です。廊下・階段・トイレ・浴室・玄関が主な設置場所になります。

費用は、木下地がしっかりある壁に1本付けるだけなら2万〜5万円程度。一方で、下地がない壁に補強板を入れる場合や、屋外の玄関アプローチにコンクリート基礎から立てる場合は10万〜15万円程度まで上がります。

設置場所 費用の目安 下地補強の要否
廊下(横手すり1〜2m) 2万〜6万円 壁の構造による
階段 5万〜15万円 必要になることが多い
トイレ(L字型) 2万〜5万円 壁の構造による
浴室(縦手すり) 3万〜8万円 タイル穿孔と防水処理
玄関の上がり框 3万〜8万円 縦手すりが基本
屋外アプローチ 8万〜15万円 基礎工事が必要な場合あり

下地補強が必要な場合は、これに2万〜5万円程度が上乗せされます。この下地補強も介護保険の対象なので、見積書で別項目になっていても自己負担だと思い込まないでください。詳しくは手すり取り付けの記事にまとめています。

段差の解消(1万〜45万円)

敷居を撤去して床の高さをそろえる、スロープを設置する、床をかさ上げする、といった工事が含まれます。

工法 費用の目安 向いている段差
敷居の撤去・削り取り 1万〜5万円 2〜3cm
ミニスロープの造作設置 2万〜8万円 3〜5cm
床全体のかさ上げ 10万〜30万円 5cm以上
玄関の踏み台設置 3万〜10万円 上がり框
屋外スロープの新設 15万〜45万円 玄関〜道路

簡易的な置くだけのスロープであれば数千円〜数万円ですが、これは工事を伴わないため住宅改修ではなく福祉用具貸与の扱いになります。月数百円程度からレンタルできるうえ、20万円の枠を消費しません。

工事は元に戻せないので、まずレンタルで試してから工事するという順番が合理的です。詳しくは段差解消の記事で工法ごとに比較しています。

浴室(20万〜150万円)

介護リフォームのなかで、もっとも費用がかさみやすい場所です。防水と給排水が絡むため、部分的な改修が難しい構造になっています。

工事内容 費用の目安 介護保険
浴室内の手すり設置 3万〜8万円 対象
洗い場の床を滑りにくい材に変更 10万〜20万円 対象
浴室入口の段差解消 5万〜20万円 対象
浴室の扉を引き戸・折戸に交換 8万〜20万円 対象
浴槽を浅いものに交換 30万〜60万円 対象外
ユニットバスごと入れ替え 60万〜150万円 原則対象外
浴室暖房乾燥機の設置 10万〜25万円 対象外

つまり、部分改修であれば20万円の枠にほぼ収まる一方で、浴室全体を作り替える工事になると、その大部分が自己負担になります。

「浴槽が深くてまたげない」という悩みは非常に多いのですが、浴槽の交換は対象6種類に含まれていません。ただし浴槽台やバスボードといった福祉用具(特定福祉用具販売・年間10万円まで)で解決できる場合があります。60万円の工事が数万円の用具で済むことは珍しくないので、工事を決める前に必ず検討してください。詳細は浴室リフォームの記事にあります。

トイレ(2万〜50万円)

和式便器から洋式便器への取り替えは、介護保険の対象工事に含まれます。費用は15万〜50万円程度で、給排水管の位置を動かす必要があるかどうかで大きく変わります。和式便器は床下に配管が埋まっているため、洋式化には床の解体を伴うことが多く、それが金額を押し上げます。

一方、すでに洋式である便器を、暖房便座付きや洗浄機能付きに交換する工事は対象外です。これは「和式から洋式への取り替え」に該当しないためです。ここは誤解が非常に多いポイントです。

立ち座りが難しい場合、便座の高さが原因のことがあります。この場合は補高便座(数千円〜2万円・特定福祉用具販売)を乗せるだけで解決することがあり、工事より先に試す価値があります。詳しくはトイレの介護リフォームの記事で解説しています。

玄関・出入口(3万〜60万円)

屋内側と屋外側で判断が変わるため、詳しくは玄関の介護リフォームの記事で整理しています。

開き戸を引き戸に交換する工事は10万〜60万円程度。ドア枠ごと交換するか、既存枠を活かすかで幅が出ます。あわせて行うドアノブのレバーハンドル化も対象です。

屋外のアプローチ部分については、通路の舗装(コンクリート打ち)も対象になる場合があります。ただし市区町村によって判断が分かれる領域なので、事前に窓口で確認してください。

床材の変更(5万〜25万円)

「滑りにくさ」と「車いすで移動しやすいこと」は両立しにくく、本人の移動手段から決める必要があります。詳しくは床材変更の記事で解説しています。

居室の畳をフローリングやビニル系の床材に変更する、浴室の床を滑りにくいものに変更する、通路面を舗装する、といった工事です。

注意点として、畳から畳への交換や、単に古くなった床を張り替えるだけの工事は対象外です。「滑り防止」「移動の円滑化」という目的が説明できることが要件になります。

対象外になる工事 ── ここが自己負担の分かれ目

費用の見通しを誤る最大の原因は、保険が使えると思っていた工事が対象外だったというケースです。代表的なものを整理します。

対象外になるもの 理由 費用の目安
階段昇降機・段差解消機・リフト 動力を使う機器のため 30万〜100万円
据え置き型手すり・置くだけスロープ 工事を伴わないため(福祉用具貸与の対象) レンタル月数百円〜
老朽化した床・壁の張り替え 安全目的ではないため 5万〜30万円
洋式便器→洗浄便座付きへの交換 「和式→洋式」に該当しないため 8万〜20万円
浴槽の交換・ユニットバス入替 対象6種類に含まれないため 30万〜150万円
浴室暖房乾燥機・給湯器 対象6種類に含まれないため 10万〜40万円
新築・増築 既存住宅の改修ではないため ─

このほか、住民票のない住宅の改修や、着工前申請をしていない工事も支給されません。判断に迷う工事があれば、対象外になる工事の記事で7つの理由別に整理しているので確認してください。

総額シミュレーション:よくある3パターン

工事の金額を入れて自分のケースで計算したい場合は、自己負担額シミュレーターをご利用ください。対象工事と対象外工事を分けて入力すると、20万円の枠の使い方と超過分が自動で振り分けられます。

実際にどのくらいの自己負担になるのか、典型的な3ケースで計算します(いずれも自己負担1割の場合)。

図:3つの典型パターンと、自己負担になる金額

ケース1:退院直後約2万円手すり+段差解消工事18万円/保険内に収まるケース2:浴室とトイレ約22万円床材+扉+便器工事40万円/20万円超過分は自己負担ケース3:車いす対応約82万円スロープ+浴室全面工事100万円/対象外工事が多い ケース1:退院直後約2万円手すり+段差解消工事18万円/保険内に収まるケース2:浴室とトイレ約22万円床材+扉+便器工事40万円/20万円超過分は自己負担ケース3:車いす対応約82万円スロープ+浴室全面工事100万円/対象外工事が多い
同じ「介護リフォーム」でも、自己負担は2万円から82万円まで開きます。差を生むのは工事の量ではなく、対象外の工事をどれだけ含むかです。

ケース1:退院後、まず最低限だけ整える

工事 費用
廊下の手すり(1.8m・下地補強あり) 6.0万円
トイレのL字手すり 3.2万円
浴室の縦手すり 4.5万円
合計 13.7万円

介護保険の対象内に収まるため、自己負担は約1.4万円。20万円の枠は6.3万円分が残ります。

ケース2:浴室とトイレを中心に改善する

工事 費用 保険
浴室の床材変更 15.0万円 対象
浴室入口の段差解消 8.0万円 対象
浴室・浴槽まわりの手すり2本 9.0万円 対象
浴槽台(特定福祉用具販売) 2.5万円 別枠
合計 34.5万円 ─

住宅改修の対象は32万円ですが、支給の計算対象は20万円まで。自己負担は2万円+超過12万円=14万円。加えて浴槽台は特定福祉用具販売の枠(年10万円)から1割負担なので0.25万円です。

ケース3:車いす対応まで踏み込む

工事 費用 保険
屋外スロープの新設 32.0万円 対象
玄関の引き戸交換 22.0万円 対象
廊下の床材変更 18.0万円 対象
階段昇降機 65.0万円 対象外
合計 137.0万円 ─

住宅改修の対象は72万円ですが、支給されるのは20万円分に対する9割の18万円のみ。自己負担は119万円になります。

このケースでは、市区町村の独自助成が使えるかどうかで負担が大きく変わります。階段昇降機を独自に補助対象にしている自治体もあるため、必ず高齢福祉の担当課に確認してください。詳しくは補助金の記事で制度の全体像を整理しています。

費用を抑えるための5つの方法

1. 「いま困っていること」から優先順位をつける

図:費用を抑える順番(上から試すほど、失う金額が小さい)

1いま困っていることから優先順位をつける将来の想定だけで工事範囲を広げない0円2福祉用具のレンタルで代替できないか確認20万円の枠を消費せずに試せる月数百円〜320万円のラインで工事を区切る超過分は全額自己負担。分割して使える4相見積もりを2〜3社から取る同じ条件で依頼しないと比較にならない差は数万円5市区町村の独自助成を確認する介護保険の窓口では案内されないことがある見落とし多 1いま困っていることから優先順位をつける将来の想定だけで工事範囲を広げない0円2福祉用具のレンタルで代替できないか確認20万円の枠を消費せずに試せる月数百円〜320万円のラインで工事を区切る超過分は全額自己負担。分割して使える4相見積もりを2〜3社から取る同じ条件で依頼しないと比較にならない差は数万円5市区町村の独自助成を確認する介護保険の窓口では案内されないことがある見落とし多
順番が重要です。工事範囲を決めてから安い業者を探すより、そもそも工事が要るかを先に確認するほうが、下がる金額はずっと大きくなります。

将来を見越して一度に広範囲を工事すると、総額が跳ね上がります。しかも身体状況は変化するため、先回りして作った設備が結局使われないということが起こります。

まずは実際に困っている動線(トイレまでの移動、浴室への出入りなど)に絞って工事し、状況が変わったら追加する。この進め方のほうが結果的に無駄が出にくくなります。

2. 福祉用具のレンタルで代替できないか検討する

据え置き型の手すり、浴槽内に置く椅子、スロープなど、工事をせずに置くだけで解決できるものは少なくありません。これらは福祉用具貸与の対象で、月数百円〜のレンタル料で使えます。

工事をしてしまうと元に戻せませんが、レンタルなら合わなければ交換できます。しかも20万円の枠を消費しません。 担当のケアマネジャーに「これは工事が必要か、用具で足りるか」を必ず相談してください。

3. 20万円のラインで工事を区切る

20万円を超えた分は全額自己負担です。たとえば24万円の工事を計画している場合、本当に今すぐ必要な20万円分と、後回しにできる4万円分に分けられないかを検討する価値があります。

分割すれば、将来3段階リセットや転居で枠が再設定されたときに、残りを保険内で実施できる可能性があります。

4. 相見積もりを取る

介護リフォームの見積額は、業者によって差が出ます。同じ手すり1本でも、材料費の見方、下地補強の考え方、出張費の扱いが各社で違うためです。

介護保険の住宅改修は着工前の申請が必要なので、複数社の見積もりを取る時間は制度上あらかじめ確保されています。1社だけで決めてしまうと、その金額が高いのか安いのか判断できません。業者選びの記事で、見積書のどこを比べるべきかを整理しています。

5. 市区町村の独自助成を確認する

多くの市区町村が、介護保険とは別に高齢者向けの住宅改修助成を設けています。上限額は数万円から100万円超まで自治体によって大きく異なり、介護保険では対象外の工事を独自に対象にしている場合もあります。

介護保険の窓口で相談する際、「市独自の助成制度はありますか」と一言添えるだけで、使える予算が変わることがあります。

当サイトで105自治体を悉皆で調べた結果、74自治体に独自の助成があり、上限は0円から200万円まで開いていました。上限が100万円以上の自治体は13あります。同じ工事でも、住んでいる市区町村によって自己負担が100万円以上変わることがあります。自治体ごとの上限額・所得要件・介護保険との併用可否は自治体独自の住宅改修助成の調査にまとめています。見積もりが20万円を超えたときの動き方は20万円で足りないときの手順に整理しています。

申請から支給までにかかる期間

費用と同じくらい重要なのが、時間の見通しです。

図:相談から入金までにかかる期間の目安(償還払いの場合)

0週2週4週6週8週10週12週14週ケアマネジャーに相談〜1週現地調査・相見積もり1〜2週事前申請と承認1〜2週工事の実施半日〜1週事後申請(完了報告)〜1週支給決定と入金1〜2か月 0週2週4週6週8週10週12週14週ケアマネジャーに相談〜1週現地調査・相見積もり1〜2週事前申請と承認1〜2週工事の実施半日〜1週事後申請(完了報告)〜1週支給決定と入金1〜2か月
相談から入金まで、合わせて3か月前後を見ておくと安全です。退院日が決まっている場合、逆算して1か月以上前に相談を始めてください。
ステップ 目安期間
ケアマネジャーへの相談 即日〜数日
業者選定・現地調査 1〜2週間
見積もりの取得・比較 1〜2週間
事前申請(着工前) 提出から1〜2週間で結果
工事の実施 1日〜1週間
事後申請(完了報告) 工事完了後すみやかに
住宅改修費の支給 申請から1〜2か月

相談から入金まで、全体で2〜3か月かかると見ておくと無理がありません。退院日が決まっている場合は、この期間から逆算して動く必要があります。

なお、支払い方法には工事費の全額をいったん立て替える償還払いと、自己負担分だけを支払う受領委任払いがあります。20万円の立て替えが難しい場合は、受領委任払いに対応しているか事前に確認してください。

よくある誤解の整理

よくある誤解 実際
20万円がもらえる 20万円は「計算の上限」。実際の支給は自己負担割合を除いた額
あとから申請すればいい 着工前の申請が必須。事後申請は支給されない
1回しか使えない 20万円の枠内なら複数回に分けて使える
要介護度が高いほど枠が大きい 要支援1でも要介護5でも一律20万円
家全体をバリアフリーにできる 対象は6種類の工事に限定。設備の新設は多くが対象外
どの業者でもいい 施工内容や書類が要件を満たさないと、申請が通らないことがある
洗浄便座も保険で付けられる 洋式→洗浄便座付きへの交換は対象外

まとめ

介護リフォームの費用は、工事単位で見れば手すり2万円台から、浴室改修の100万円超までと大きな幅があります。判断の起点になるのは、次の4つです。

  1. その工事が介護保険の対象6種類に入っているか(入っていなければ全額自己負担)
  2. 20万円のラインをどう使うか(超えた分は全額自己負担。一度に使い切る必要はない)
  3. 工事ではなく福祉用具で代替できないか(元に戻せる選択肢を先に検討する)
  4. 市区町村の独自助成があるか(介護保険とは別枠で使える場合がある)

制度の運用は市区町村によって細部が異なります。実際の申請にあたっては、必ず担当のケアマネジャーとお住まいの市区町村の介護保険窓口にご確認ください。

よくある質問

介護リフォームの費用は平均でいくらぐらいですか?
工事の範囲によって大きく変わります。手すりを1〜2か所付けるだけなら5万〜15万円、浴室やトイレを含む複数箇所なら50万〜100万円、戸建て全体をバリアフリー化すると200万〜300万円が目安です。「平均」で考えるより、必要な工事を1か所ずつ積み上げて計算するほうが実態に近くなります。
介護保険の20万円は現金でもらえるのですか?
いいえ。20万円は「支給の計算対象になる上限額」です。実際に支給されるのは、工事費のうち20万円までの部分から自己負担割合(1〜3割)を差し引いた額です。1割負担の方が20万円の工事をした場合、支給は18万円、自己負担は2万円になります。
20万円は1回で使い切らないといけませんか?
いいえ。20万円の枠内であれば、複数回に分けて使えます。回数の制限もありません。身体状況は変化するため、いま困っている工事から段階的に使うほうが結果的に無駄が出にくくなります。
工事をしてから申請しても支給されますか?
支給されません。介護保険の住宅改修は、工事を始める前に市区町村へ申請し、承認を受けることが要件です。事後申請では原則として救済されないため、急いでいる場合ほど順番に注意してください。
階段昇降機は介護保険の対象になりますか?
対象外です。動力によって段差を解消する機器(階段昇降機・段差解消機・リフト)は住宅改修の対象から除かれています。費用は40万〜100万円程度で、原則として全額自己負担です。ただし市区町村の独自助成が使える場合があるため、窓口で確認する価値があります。
賃貸住宅でも介護リフォームはできますか?
可能ですが、住宅の所有者(大家)の承諾書が必要です。承諾書がないと申請自体ができません。また、退去時の原状回復についても事前に取り決めておく必要があります。
費用を抑えるにはどうすればよいですか?
3点あります。①いま困っている動線だけに絞る、②据え置き型手すりなど福祉用具のレンタルで代替できないか検討する、③複数社から相見積もりを取る。とくに②は工事費ゼロで解決できる場合があり、20万円の枠も消費しません。

この記事の作り方

制度の記述の確認日
2026年8月19日(厚生労働省の通知および下記の一次情報を参照)
金額の集計方法
手すりについては公開料金表8件を横断集計した結果を反映しています(2026年8月19日確認)。その他の工事の金額は、公開されている費用情報をもとにした目安で、実勢価格の調査結果ではありません。
この記事で扱っていないこと
  • 特定の施工業者の紹介や見積もりの仲介
  • 個別の身体状況に応じた工事内容の判断
  • 施工方法や工法の技術的な解説
立場
当サイトは施工を行いません。特定の業者を有利に扱う理由がないため、 工事を減らす選択肢(福祉用具・照明の改善など)も同じ比重で扱っています。 誤りのご指摘はお問い合わせから受け付け、修正時は更新日を改めます。

参考にした一次情報

  1. 厚生労働省「介護保険における住宅改修」
  2. 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」
  3. 各市区町村が公開する居宅介護(介護予防)住宅改修費支給要綱

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