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介護保険の住宅改修20万円でできること6種類|対象工事と支給の条件

公開日:2026年8月16日最終更新:2026年9月2日カテゴリ:制度・費用

介護保険の住宅改修は、どんな工事でも対象になるわけではありません。厚生労働大臣が定める告示により、対象となる工事は6種類に限定されています。

この6種類を正確に把握しておくと、「見積書に入っているこの工事は保険が使えるのか」という判断が自分でできるようになります。逆にここを曖昧にしたまま業者に任せると、申請が通らなかった部分が丸ごと自己負担になることがあります。

支給限度基準額20万円の仕組み

まず金額のルールを整理します。

図:「20万円が支給される」ではない。負担割合別の内訳

18万円保険給付2万自己負担1割負担の場合。2割負担なら給付16万円/自己負担4万円、3割負担なら給付14万円/自己負担6万円 保険給付18万円自己負担2万1割負担の場合。2割負担なら給付16万円/自己負担4万円、3割負担なら給付14万円/自己負担6万円
20万円は工事費の上限額です。この枠を超えた分は、全額が自己負担になります。
  • 支給限度基準額は、要支援・要介護の認定を受けた人1人につき20万円
  • 20万円は「住んでいる住宅」ごとに設定される(原則、生涯で1回分)
  • 実際に支払われるのは、工事費のうち20万円までの部分から、自己負担割合(1割・2割・3割)を差し引いた額
  • 20万円を超えた分は全額自己負担

20万円は「もらえる金額」ではない

もっとも多い誤解がここです。20万円は支給の計算対象になる上限額であって、現金で20万円受け取れるという意味ではありません。

工事費 自己負担割合 支給される額 自己負担の合計
10万円 1割 9万円 1万円
15万円 1割 13.5万円 1.5万円
20万円 1割 18万円 2万円
20万円 2割 16万円 4万円
20万円 3割 14万円 6万円
30万円 1割 18万円 12万円
40万円 1割 18万円 22万円

30万円の工事をした場合、支給の計算対象は20万円までなので支給額は18万円で頭打ちです。超過した10万円は全額自己負担になり、合計12万円を負担することになります。

20万円のラインを超えるかどうかで、自己負担額の伸び方が変わることを押さえておいてください。

ただし、20万円を超えた分がすべて自己負担になるとは限りません。当サイトで105自治体を調べたところ、74自治体が介護保険とは別枠の住宅改修助成を持っていて、上限は0円から200万円まで開いていました。江戸川区は200万円、中央区は185.4万円、横浜市は120万円です。30自治体は介護保険との併用が可能と明記しています。詳しくは自治体独自の住宅改修助成の調査と介護保険20万円と自治体助成は併用できるかにまとめました。超えたときに何をどの順番で確認するかは20万円で足りないときの手順に整理しています。

分割して使える

20万円は一度に使い切る必要がなく、複数回に分けて申請できます。回数の制限もありません。

たとえば最初に8万円分の手すりを設置し、半年後に12万円分の段差解消をする、という使い方が可能です。身体状況は変化するため、いま困っている工事から段階的に使うほうが結果的に無駄が出にくくなります。

なお枠が再設定される条件については、20万円のリセットの記事で整理しています。

対象になる6種類の工事

図:介護保険の住宅改修で認められている6種類

1. 手すりの取り付け廊下・浴室・トイレ・玄関転倒防止と移動の補助2. 段差の解消敷居撤去・スロープ・かさ上げ動力式の機器は除く3. 床材の変更滑り防止と移動の円滑化畳→フローリングなど4. 扉の取り替え引き戸等への交換ドアノブの変更も含む5. 便器の取り替え和式→洋式洗浄便座の追加は含まない6. 付帯して必要な工事下地補強・給排水など1〜5に伴うものだけ 1. 手すりの取り付け廊下・浴室・トイレ・玄関転倒防止と移動の補助2. 段差の解消敷居撤去・スロープ・かさ上げ動力式の機器は除く3. 床材の変更滑り防止と移動の円滑化畳→フローリングなど4. 扉の取り替え引き戸等への交換ドアノブの変更も含む5. 便器の取り替え和式→洋式洗浄便座の追加は含まない6. 付帯して必要な工事下地補強・給排水など1〜5に伴うものだけ
この6種類に該当しない工事は、介護の必要性がどれだけ高くても支給されません。判断に迷ったら、まずこの6つのどれに当てはまるかを考えます。

1. 手すりの取り付け

廊下、便所、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などに、転倒予防・移動補助のために手すりを取り付ける工事です。

工事を伴うことが条件です。床に置くだけの据え置き型手すりや、突っ張り棒式のものは、住宅改修ではなく福祉用具貸与の扱いになります。

手すりの形状(縦・横・L字)に制限はなく、身体状況に合わせて選べます。費用は1か所あたり2万〜15万円が目安で、下地の状態によって大きく変わります。詳しくは手すり取り付けの記事にまとめています。

2. 段差の解消

居室、廊下、便所、浴室、玄関などの各室間の段差、および玄関から道路までの通路の段差を解消する工事です。

具体的には、敷居を低くする、スロープを設置する、浴室の床をかさ上げする、といった方法があります。

こちらも工事を伴うことが条件で、持ち運びできる据置式スロープは福祉用具貸与の扱いです。また、動力によって段差を解消する機器(昇降機・リフト・段差解消機)は対象外とされています。工法ごとの費用は段差解消の記事で比較しています。

3. 滑りの防止および移動の円滑化等のための床材の変更

居室の畳をフローリングやビニル系の床材に変更する、浴室の床を滑りにくいものに変更する、通路面を舗装する、といった工事です。

畳から畳への交換や、単に古くなった床を張り替えるだけの工事は該当しません。滑り防止や移動しやすさという目的が明確であることが求められます。

4. 引き戸等への扉の取り替え

開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテンなどに取り替える工事です。扉の撤去も含まれます。

あわせて行う場合は、ドアノブの変更(レバーハンドル化)や戸車の設置も対象になります。握力が落ちている場合、丸いノブは回せなくなるため、レバーハンドル化は効果の大きい工事です。

なお、引き戸への交換にあたって新たに扉を設置する場合、その工事費が引き戸への取り替えより高額になるときは、差額分が対象外として扱われることがあります。

5. 洋式便器等への便器の取り替え

和式便器を洋式便器に取り替える工事です。便器の位置や向きを変更する工事も含まれます。

すでに洋式の便器を、暖房便座や洗浄機能付きのものに交換する工事は対象外です。 「和式から洋式へ」という取り替えに該当しないためです。ここは誤解が非常に多いポイントなので注意してください。

立ち座りが難しい場合、便座の高さが原因のこともあります。この場合は補高便座(特定福祉用具販売)を乗せるだけで解決することがあり、工事より先に試す価値があります。詳しくはトイレの介護リフォームの記事で解説しています。

6. その他、1〜5の工事に付帯して必要となる工事

上記5種類の工事を行うために不可欠な工事が対象になります。

  • 手すりを取り付けるための壁の下地補強
  • 浴室の床をかさ上げしたことによる給排水設備の工事
  • 段差解消に伴う転落防止柵の設置
  • 床材変更のための下地の補修や根太の補強
  • 扉の取り替えに伴う壁または柱の改修

この6番目があるおかげで、下地補強のような「準備工事」も保険の対象になります。 見積書で下地補強が別項目になっている場合は、本体工事と一緒に申請できるか業者に確認してください。

対象になる住宅の条件

工事の種類だけでなく、どの住宅を改修するかにも条件があります。

図:住宅と本人、それぞれの条件

被保険者証に記載された住所の住宅であること実際にそこに住んでいること(住民票だけでは足りない)要支援1以上の認定を受けていること在宅で生活していること(施設入所中は対象外)入院中で、退院後に自宅に戻る予定があること(自治体により運用が異なる)賃貸の場合、所有者の承諾を得ていること 被保険者証に記載された住所の住宅であること実際にそこに住んでいること(住民票だけでは足りない)要支援1以上の認定を受けていること在宅で生活していること(施設入所中は対象外)入院中で、退院後に自宅に戻る予定があること(自治体により運用が異なる)賃貸の場合、所有者の承諾を得ていること
「住所が一致していない」は、修正に住民票の異動が必要になり数週間かかることがあります。相談の早い段階で被保険者証を確認してください。
条件 内容
住所 介護保険被保険者証に記載されている住所の住宅のみ
一時滞在先 家族の家に一時的に身を寄せている場合、その住宅は原則対象外
施設入所中・入院中 原則対象外(退所・退院が決まり、戻る予定が具体的なら認められる場合あり)
賃貸住宅 所有者(大家)の承諾書が必要
新築・増築 対象外

住民票を移していない住宅は対象になりません。親の家を改修する場合、親の住民票がその住所にあることを確認してください。ここを見落として申請が通らないケースは実際にあります。

対象になる人の条件

介護度ごとに使えるもの(住宅改修と福祉用具の違い)は要介護度別に使えるもの一覧にまとめています。

  • 要支援1・2、または要介護1〜5の認定を受けていること
  • 在宅で生活していること(施設入所中・入院中でないこと)

要介護度による制限はなく、要支援1でも要介護5でも、支給限度基準額は同じ20万円です。福祉用具のように要介護度で使えるものが変わる、ということはありません。

まだ認定を受けていない場合は、認定申請から始める必要があります。認定には申請から30日程度かかるため、退院日が決まっている場合は早めに動いてください。

6種類に入っていても支給されない3つのケース

対象工事に該当していても、次の場合は支給されません。

図:6種類に該当していても却下されるパターン

着工してから申請した(事前申請がない)住宅の住所が被保険者証の住所と違う新築・増築にあたる工事だった着工前に事前申請を提出し、承認を待ってから工事した被保険者証の住所と工事する住宅が一致している既存住宅の改修の範囲に収まっている 着工してから申請した(事前申請がない)住宅の住所が被保険者証の住所と違う新築・増築にあたる工事だった着工前に事前申請を提出し、承認を待ってから工事した被保険者証の住所と工事する住宅が一致している既存住宅の改修の範囲に収まっている
上の3つは「工事内容は正しいのに支給されない」典型例です。とくに1つ目は取り返しがつかず、20万円がまるごと自己負担になります。

1. 着工前の申請をしていない

もっとも多い失敗です。工事を始める前に市区町村へ申請し、承認を受けることが要件です。事後申請では原則として救済されません。

2. 申請内容と違う工事をした

現場で「ついでにここも」と追加工事をすると、その部分は申請していないため対象外になります。追加が必要になった場合は、着工前に変更申請ができるか窓口に相談してください。

3. 目的が「安全・移動」と説明できない

床材の変更が典型です。同じ張り替え工事でも、老朽化の補修なら対象外、滑り防止が目的なら対象になります。この目的を書面で説明するのが、ケアマネジャーが作成する「住宅改修が必要な理由書」の役割です。

手続きの全体像は申請の流れの記事で、対象外になる工事の詳細はこちらの記事でまとめています。

福祉用具との使い分け

「工事をしないと保険が使えない」わけではありません。制度が違うだけで、どちらも介護保険の給付です。

図:住宅改修と福祉用具、どちらで対応するか

住宅改修(20万円の枠)壁や床に固定する工事位置を変えるには再工事撤去にも費用がかかる賃貸は所有者の承諾が必要枠を消費する位置と形状が確定してから福祉用具(貸与・販売)据え置き・置くだけいつでも動かせる不要になれば返却できる承諾不要で使える20万円の枠を消費しない退院直後・状態が変わる時期に 住宅改修(20万円の枠)壁や床に固定する工事位置を変えるには再工事撤去にも費用がかかる賃貸は所有者の承諾が必要枠を消費する位置と形状が確定してから福祉用具(貸与・販売)据え置き・置くだけいつでも動かせる不要になれば返却できる承諾不要で使える20万円の枠を消費しない退院直後・状態が変わる時期に
退院直後は身体状況がもっとも動く時期です。この時期はまず福祉用具で対応し、必要な位置が確定してから工事に移すと、枠の無駄遣いを避けられます。
やりたいこと 工事する場合 工事しない場合
手すりを付けたい 住宅改修(20万円の枠) 据え置き型手すり:福祉用具貸与(月数百円〜)
段差をなくしたい 住宅改修(20万円の枠) 置くだけスロープ:福祉用具貸与
浴槽をまたぎやすくしたい 対象外 浴槽台・バスボード:特定福祉用具販売(年10万円まで)
便座を高くしたい 自治体判断 補高便座:特定福祉用具販売
トイレまで行くのが大変 住宅改修(手すり・段差) ポータブルトイレ:特定福祉用具販売

特定福祉用具販売は年間10万円を上限に購入費の支給を受けられ、住宅改修の20万円とは別枠です。工事を決める前に、用具で代替できないかを担当のケアマネジャーに確認してください。

申請に必要な書類

一般的に必要となるのは次のとおりです(市区町村により異なります)。

図:必要書類と、誰が用意するか

支給申請書本人市区町村の窓口/Webで入手住宅改修が必要な理由書ケアマネ作成できる資格者が定められている工事見積書業者対象と対象外を分けて記載してもらう改修前の写真業者/家族撮影日が分かる状態で平面図・改修箇所の図業者手書き可の自治体が多い所有者の承諾書所有者賃貸・名義が本人以外の場合 支給申請書本人市区町村の窓口/Webで入手住宅改修が必要な理由書ケアマネ作成できる資格者が定められている工事見積書業者対象と対象外を分けて記載してもらう改修前の写真業者/家族撮影日が分かる状態で平面図・改修箇所の図業者手書き可の自治体が多い所有者の承諾書所有者賃貸・名義が本人以外の場合
もっとも時間がかかるのが理由書です。依頼から受け取りまで数日〜1週間かかることがあるため、相談の初回に依頼しておくと並行して進められます。
書類 用意する人 段階
住宅改修費支給申請書 本人または家族 事前
住宅改修が必要な理由書 ケアマネジャー等 事前
工事費見積書 施工業者 事前
改修前の状態がわかる写真(日付入り) 施工業者 事前
改修後の完成予定図 施工業者 事前
住宅所有者の承諾書 所有者 事前(本人所有でない場合)
領収書 施工業者 事後
工事費内訳書 施工業者 事後
改修後の状態がわかる写真(日付入り) 施工業者 事後

改修前の写真は工事後には撮れません。 撮影を業者に依頼しておいてください。

よくある誤解の整理

よくある誤解 実際
20万円が現金でもらえる 20万円は計算の上限。支給は自己負担割合を除いた額
要介護度が高いと枠が増える 要支援1でも要介護5でも一律20万円
1回しか使えない 20万円の枠内なら複数回に分けて使える
年度が変わればリセットされる 年度では変わらない。3段階上昇か転居のみ
下地補強は自己負担 付帯工事として対象
洗浄便座も付けられる 洋式→洗浄便座付きは対象外
どこの住宅でも改修できる 被保険者証に記載された住所の住宅のみ

まとめ

介護保険の住宅改修で対象になるのは、手すり・段差解消・床材変更・扉の取り替え・便器の取り替え・付帯工事の6種類です。この枠から外れる工事は、どれだけ介護に必要であっても保険は使えません。

判断の順番は次の3ステップです。

  1. その工事は6種類のいずれかに当てはまるか
  2. 改修する住宅に本人の住民票があるか
  3. 着工前に申請できる時間があるか

制度の運用は市区町村ごとに細部が異なります。個別の工事が対象になるかどうかは、必ず担当のケアマネジャーとお住まいの市区町村の介護保険窓口にご確認ください。

よくある質問

介護保険の住宅改修で対象になる工事は何種類ありますか?
6種類です。①手すりの取り付け、②段差の解消、③滑りの防止および移動の円滑化等のための床材の変更、④引き戸等への扉の取り替え、⑤洋式便器等への便器の取り替え、⑥これらに付帯して必要となる工事。この6種類に該当しない工事は、どれだけ介護に必要でも対象になりません。
要介護度が高いほど支給される金額は増えますか?
いいえ。要支援1でも要介護5でも、支給限度基準額は一律20万円です。福祉用具の貸与のように要介護度によって使えるものが変わる、ということはありません。
夫婦それぞれが要介護認定を受けている場合、40万円使えますか?
住宅改修費は1人につき20万円なので、それぞれが20万円の枠を持ちます。ただし同じ場所への同じ工事について2人分を重ねて申請することはできません。それぞれの動線に必要な別の工事であれば、各自の枠から支給を受けられます。運用は市区町村によって分かれるため事前にご確認ください。
手すりの下地補強は自己負担ですか?
対象です。6種類目の「付帯して必要となる工事」に該当します。見積書で下地補強が別項目になっていても、本体工事とあわせて申請できます。
賃貸住宅でも住宅改修費は使えますか?
使えますが、住宅の所有者(大家)の承諾書が必要です。承諾書がないと申請自体ができません。退去時の原状回復についても事前に取り決めておくことをおすすめします。
施設に入所中ですが、自宅を改修できますか?
原則として対象外です。在宅で生活していることが前提になります。ただし退所が決まっており、その住宅に戻る具体的な予定がある場合は認められることがあります。市区町村によって扱いが異なるため、必ず窓口にご確認ください。
20万円の枠は年度で区切られますか?
いいえ。年度単位の予算ではないため、4月になってもリセットされません。枠が再設定されるのは、要介護状態区分が3段階以上上がった場合と、転居した場合の2つだけです。

この記事の作り方

制度の記述の確認日
2026年8月19日(厚生労働省の通知および下記の一次情報を参照)
この記事で扱っていないこと
  • 市区町村ごとの申請書類の様式
  • 要介護認定そのものの申請手続き
立場
当サイトは施工を行いません。特定の業者を有利に扱う理由がないため、 工事を減らす選択肢(福祉用具・照明の改善など)も同じ比重で扱っています。 誤りのご指摘はお問い合わせから受け付け、修正時は更新日を改めます。

参考にした一次情報

  1. 厚生労働省「介護保険における住宅改修」
  2. 厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」
  3. 各市区町村が公開する居宅介護(介護予防)住宅改修費支給要綱

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