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玄関の介護リフォーム費用|上がり框の段差と外まわりの動線を分けて考える

公開日:2026年9月9日最終更新:2026年9月2日カテゴリ:制度・費用

玄関は、家のなかで屋内と屋外が切り替わる唯一の場所です。そのため介護リフォームの考え方も、他の場所とは変わります。

同じ「玄関の手すり」でも、屋内側なら1万円台で済むのに、屋外側では基礎工事が必要になって10万円近くかかることがあります。同じ「段差解消」でも、屋内は乾いた前提で設計できますが、屋外は雨と凍結を前提にしなければなりません。

この記事では、屋内側と屋外側を分けて費用と判断の基準を整理します。

工事別の費用と保険の対象可否

工事内容 費用の目安 介護保険 屋内/屋外
上がり框に式台・踏み台を設置(造作) 0.5万〜10万円 対象 屋内
手すりの設置(屋内側・壁に固定) 0.8万〜4万円 対象 屋内
たたきと廊下の段差解消(かさ上げ) 5万〜25万円 対象 屋内
床材を滑りにくいものに変更(たたき) 3万〜10万円 対象 屋内
腰掛け・ベンチの設置(造作) 1万〜7万円 対象になる場合あり 屋内
玄関ドアを引き戸に交換 15万〜60万円 対象(戸建て) 境目
ドアノブをレバーハンドルに変更 1万〜3万円 対象 境目
手すりの設置(屋外・支柱の基礎を伴う) 3万〜10万円 対象 屋外
アプローチの段差解消・階段化 5万〜30万円 対象 屋外
屋外スロープの新設 10万〜60万円 対象 屋外
通路のコンクリート舗装 10万〜30万円 対象になる場合あり 屋外
門扉の交換 10万〜40万円 対象外 屋外
カーポート・庇の新設 15万〜60万円 対象外 屋外
段差解消機(動力式)の設置 30万〜80万円 対象外 屋外

介護保険で対象外になる工事でも、自治体独自の助成では対象になっていることがあります。江戸川区は段差解消機の設置に伴う舗装改修に上限200万円、練馬区は玄関造作物の撤去に上限10万円の助成を設けています。種目ごとの上限額は設備別に見た自治体独自の住宅改修助成にまとめています。

図:玄関の工事別レンジ ── 屋外に出ると跳ねる

0万15万30万45万60万上がり框に式台を設置0.5〜10万手すり(屋内側・壁に固定)0.8〜4万手すり(屋外・支柱の基礎あり)3〜10万たたきと廊下の段差解消5〜25万屋外スロープの新設10〜60万玄関ドアを引き戸に交換15〜60万門扉の交換保険対象外10〜40万段差解消機(動力式)保険対象外30〜80万 0万15万30万45万60万上がり框に式台を設置0.5〜10万手すり(屋内側・壁に固定)0.8〜4万手すり(屋外・支柱の基礎あり)3〜10万たたきと廊下の段差解消5〜25万屋外スロープの新設10〜60万玄関ドアを引き戸に交換15〜60万門扉の交換10〜40万保険対象外段差解消機(動力式)30〜80万保険対象外
対象外になるのは、段差の解消や手すりに直接あたらないもの(門扉・庇)と、動力を使う機器です。それ以外はほとんどが対象工事に該当します。

ほとんどが対象工事に該当します。 対象外になるのは、段差の解消や手すりに直接あたらないもの(門扉・庇)と、動力を使う機器です。

屋内側:上がり框をどう分割するか

日本の住宅では、玄関のたたきから廊下に上がる上がり框が30cm以上あることが珍しくありません。

これを一段で上がるのは、高齢になると大きな負担です。膝や股関節の可動域を大きく使い、片足で体重を支える瞬間が生まれます。

段を分割するという考え方

対応の基本は、一段の高さを小さくすることです。

図:上がり框の高さ別 ── 一段15cm程度に分割する

15cm程度そのまま手すりで補助する20〜25cm式台1段一段あたり10〜13cmになる30〜35cm式台1段一段あたり15〜18cmになる40cm以上式台2段または床のかさ上げ一段あたり13〜15cm 15cm程度そのまま手すりで補助する20〜25cm式台1段一段あたり10〜13cmになる30〜35cm式台1段一段あたり15〜18cmになる40cm以上式台2段または床のかさ上げ一段あたり13〜15cm
一段15cm程度が目安ですが、本人の身体状況で変わります。まず置くだけの踏み台を福祉用具貸与で試し(月数百円〜・枠を消費しない)、高さと奥行きが合うか確かめてから造作に移してください。
上がり框の高さ 対応 一段あたり
15cm程度 そのまま(手すりで補助) 15cm
20〜25cm 式台を1段設ける 10〜13cm
30〜35cm 式台を1段設ける 15〜18cm
40cm以上 式台を2段設ける、または床のかさ上げ 13〜15cm

一段15cm程度が目安とされますが、これは本人の身体状況によって変わります。実際に上がってもらって決めてください。

式台には「置くだけ」と「造作」の2種類があります。

  • 置くだけの踏み台 — 福祉用具貸与の対象。月数百円程度から。20万円の枠を消費しない
  • 床に固定する造作 — 住宅改修の対象。0.5万〜10万円

まず置くだけのタイプをレンタルして試すのが合理的です。高さと奥行きが本人に合うかを確かめてから造作に移せば、作り直しを避けられます。

式台の奥行きが足りないと危険になる

式台を設けるときに見落とされるのが奥行きです。

図:段差を小さくしただけでは安全にならない

靴を履いた状態で、足全体が乗る奥行きがあるか式台の上で一度立ち止まれるか上がり框と式台の両方に手が届く手すりがあるか下りるときに、後ろ足のつま先だけが乗る状態にならないか奥行きが浅く、かかとが出て不安定になる 靴を履いた状態で、足全体が乗る奥行きがあるか式台の上で一度立ち止まれるか上がり框と式台の両方に手が届く手すりがあるか下りるときに、後ろ足のつま先だけが乗る状態にならないか奥行きが浅く、かかとが出て不安定になる
とくに下りる動作で、後ろ足のつま先だけが式台に乗っている状態が生まれると転落の原因になります。段の上で安定して立てるかまで確認してください。

奥行きが浅いと、足を乗せたときにかかとが出て不安定になります。とくに下りるとき、後ろ足のつま先だけが乗っている状態が生まれ、転落の原因になります。

  • 足全体が乗る奥行きがあるか(靴を履いた状態で確認)
  • 式台の上で一度立ち止まれるか
  • 上がり框と式台の両方に手が届く手すりがあるか

「段差を小さくした」だけでは安全になりません。段の上で安定して立てるかまで見てください。

屋内側:靴の脱ぎ履きの場所

もう一つ見落とされやすいのが、靴を脱ぎ履きする姿勢です。

立ったまま片足で靴を履く動作は、健康なうちは意識しませんが、バランス能力が落ちると転倒のリスクが高い動作になります。玄関は床が硬く、転倒したときの衝撃も大きい場所です。

対応 費用の目安 制度
据え置き型のベンチ・スツールを置く 数千円〜3万円 用具(福祉用具に該当する場合は貸与・販売)
上がり框に腰掛けて履く(式台を腰掛け高さにする) 式台の費用に含む 住宅改修
造作の腰掛けを設置する 1万〜7万円 住宅改修(自治体判断)
縦手すりを設けて、立ったまま支える 0.8万〜4万円 住宅改修

まず椅子を置くだけで解決する場合があります。 数千円で、工事は不要です。玄関の広さに余裕があるなら、これを先に試してください。

造作の腰掛けが住宅改修の対象になるかは、自治体によって判断が分かれます。「段差の解消」や「手すりの取り付け」に該当するかどうかの解釈によるためです。事前に窓口で確認してください。

屋外側:費用が跳ねる理由

屋外の工事は、屋内と同じ内容でも金額が上がります。理由は3つです。

図:屋外の手すりは「固定先があるか」で金額が数倍変わる

固定できる壁・柱がある玄関ポーチの壁に固定既存の門柱に固定ブロック塀に固定(強度の確認が必要)屋内と同水準の費用0.8万〜4万円程度基礎工事を省ける固定先がなく支柱を立てるコンクリートの基礎を打つ固まるまでの養生期間が必要手すり本体より基礎が高くなることも3万〜10万円の加算掘削・残土処分が加わる見積もりの前提が変わる 固定できる壁・柱がある玄関ポーチの壁に固定既存の門柱に固定ブロック塀に固定(強度の確認が必要)屋内と同水準の費用0.8万〜4万円程度基礎工事を省ける固定先がなく支柱を立てるコンクリートの基礎を打つ固まるまでの養生期間が必要手すり本体より基礎が高くなることも3万〜10万円の加算掘削・残土処分が加わる見積もりの前提が変わる
見積もりを取る前に「固定できる構造物があるか」を業者に確認してもらってください。既存の門柱やブロック塀が使えれば基礎工事を省ける場合があります。
理由 具体的に起きること
固定できる壁や柱がない 支柱の基礎工事(コンクリート打設)が必要。3万〜10万円の加算
必要な長さが敷地で決まる スロープは高低差で長さが決まり、材料費と工事量に直結する
天候への対応が要る ノンスリップ仕上げ、水勾配、凍結対策が加わる

手すりは「固定先があるか」で決まる

屋外で手すりを付ける場合、玄関ポーチの壁に固定できるかが金額の分かれ目です。

  • 壁や柱に固定できる — 屋内と同水準(0.8万〜4万円程度)
  • 固定先がなく支柱を立てる — 基礎工事が加わる(3万〜10万円)

支柱を立てる場合、コンクリートの基礎を打って固める必要があります。手すり本体より基礎工事のほうが高くなることもあります。

既存の門柱やブロック塀に固定できないかを業者に確認してもらってください。使える構造物があれば基礎工事を省ける場合があります。

スロープの長さは高低差で決まる

車いすで自走する場合、傾斜は1/12(高さ1に対して長さ12)程度が推奨されます。

玄関ポーチの高低差 必要な長さ(1/12勾配)
15cm 約1.8m
30cm 約3.6m
45cm 約5.4m
60cm 約7.2m

敷地に収まらない場合は、折り返しを設けるか、別の方法を検討します。 介助者が押す場合は1/8程度でも実用になりますが、本人が自走するなら1/12を確保したいところです。工法の比較は段差解消の記事にまとめています。

屋外特有の注意点:雨と凍結

屋内の工事では考えなくてよい要素が、屋外では判断を変えます。

図:屋外だけに加わる5つの条件

雨表面が滑る。スロープは傾斜があるぶん特に危険凍結早朝に路面が凍る転倒が重症化しやすい落ち葉・苔濡れると極端に滑る日当たりの確保が効く夜間段差の輪郭が見えないセンサーライトで対応直射日光樹脂製の手すりが熱くなる素材の選択で回避対策ノンスリップ加工溝切り仕上げ・水勾配 雨表面が滑る。スロープは傾斜があるぶん特に危険凍結早朝に路面が凍る転倒が重症化しやすい落ち葉・苔濡れると極端に滑る日当たりの確保が効く夜間段差の輪郭が見えないセンサーライトで対応直射日光樹脂製の手すりが熱くなる素材の選択で回避対策ノンスリップ加工溝切り仕上げ・水勾配
屋外スロープは雨天時にこそ使われます。晴れた日の現地調査だけで決めるとこの視点が抜けるので、「雨の日の表面はどうなりますか」と業者に直接聞いてください。
条件 起きること 対策
雨 表面が滑る。スロープは傾斜があるぶん特に危険 ノンスリップ加工、溝切り仕上げ、水勾配の確保
凍結 早朝に路面が凍る。転倒が重症化しやすい 融雪マット、庇で濡れる範囲を減らす
落ち葉・苔 濡れると極端に滑る 定期清掃、日当たりの確保
夜間 段差の輪郭が見えない センサーライト、段鼻の明度差
直射日光 樹脂製の手すりが熱くなる 素材の選択(金属の露出を避ける)

屋外のスロープは、雨天時にこそ使われることを前提に設計する必要があります。 晴れた日の現地調査だけで決めると、この視点が抜けます。業者に「雨の日の表面はどうなりますか」と直接聞いてください。

なお、庇の新設そのものは介護保険の対象外です。ただし濡れる範囲を減らす効果があるため、自費で行う価値がある場合があります。

工事の前に試せること

玄関の工事を検討する前に、次を試してください。いずれも工事不要です。

図:工事なしで試せる6つ

センサーライトを設置する(2,000〜1万円)段鼻に明度差のあるテープを貼る(数百円〜2,000円)置くだけの踏み台をレンタルする(月数百円〜・枠を消費しない)据え置き型の手すりをレンタルする(月数百円〜・枠を消費しない)椅子・スツールを置いて、靴の脱ぎ履きの姿勢を安定させる(数千円〜)玄関マットを撤去する、または滑り止め付きに替える(0円〜) センサーライトを設置する(2,000〜1万円)段鼻に明度差のあるテープを貼る(数百円〜2,000円)置くだけの踏み台をレンタルする(月数百円〜・枠を消費しない)据え置き型の手すりをレンタルする(月数百円〜・枠を消費しない)椅子・スツールを置いて、靴の脱ぎ履きの姿勢を安定させる(数千円〜)玄関マットを撤去する、または滑り止め付きに替える(0円〜)
玄関マットは端がめくれてつまずきの原因になります。また段差そのものより「段差が見えていないこと」が原因のケースは少なくありません。これで解決すれば20万円の枠を使わずに済みます。
対策 費用の目安 効果
センサーライトを設置する 2,000〜1万円 夜間・早朝の段差が見えるようになる
段鼻に明度差のあるテープを貼る 数百円〜2,000円 段の輪郭が視認できる
置くだけの踏み台をレンタルする 月数百円〜 高さと奥行きを試せる(枠を消費しない)
据え置き型の手すりをレンタルする 月数百円〜 位置を試せる(枠を消費しない)
椅子・スツールを置く 数千円〜 靴の脱ぎ履きの姿勢が安定する
玄関マットを撤去する 0円 めくれによるつまずきを除去

玄関マットは意外な落とし穴です。 端がめくれてつまずきの原因になります。滑り止め付きに替えるか、撤去するだけで安全性が上がることがあります。

加齢により、若い頃と同じ明るさでは十分に見えなくなります。段差そのものより「段差が見えていないこと」が原因というケースは少なくありません。これで解決するなら、20万円の枠を使わずに済みます。

玄関の工事を決める前のチェック

  • 上がり框の高さを実測した(メジャーで測る)
  • 本人に実際に上がり降りしてもらった
  • 靴の脱ぎ履きの姿勢を見た(立ったまま片足になっていないか)
  • 屋外側に固定できる壁・柱・門柱があるかを業者に確認した
  • スロープを検討する場合、敷地に必要な長さが取れるかを確認した
  • 雨の日の表面がどうなるかを業者に聞いた
  • 夜間・早朝にその動線を通るかを確認した
  • センサーライトなど、工事不要の対策を先に試した
  • 置くだけの踏み台・据え置き手すりをレンタルで試した
  • (マンションの場合)玄関扉が専有部か共用部かを管理規約で確認した

4番目は必ず業者に確認してください。 固定先の有無で金額が数倍変わるため、見積もりの前提が変わります。

車いすで出入りする場合に必要な寸法

車いすを使う場合、段差の解消だけでは足りません。回転と直進のためのスペースが必要になります。

場所 必要な寸法の目安 足りないと起きること
スロープの幅 90cm以上 車輪が縁から落ちる
スロープの上下の平坦部 各150cm程度 扉を開ける動作ができない
玄関ポーチ 150×150cm程度 方向転換ができない
玄関ドアの有効開口 80cm以上 車いすが通らない
たたきの奥行き 120cm以上 扉を閉めてから向きを変えられない

もっとも見落とされるのが「スロープの上下の平坦部」です。 スロープを上がりきった先に平坦なスペースがないと、傾斜の上で止まりながら扉を開ける動作になります。ブレーキをかけていても、扉を引く力で車いすが動くことがあります。

玄関ドアの有効開口は、ドア枠の内側の実寸を測ってください。図面上の寸法や「85cmのドア」という表記は、枠を含んだ寸法を指すことがあり、実際に通れる幅はそれより狭くなります。

寸法が足りない場合、玄関からの出入りを諦める判断もあります。 掃き出し窓(リビングの大きな窓)から出入りする動線に切り替えると、段差が1段だけで済むことがあります。窓の外にスロープやデッキを設ける工事は、段差の解消として対象になる場合があります。玄関にこだわらず、その家でいちばん条件の良い出入口を探すという視点を持ってください。

郵便物・宅配の受け取りという日常

介護リフォームの検討では工事の話に集中しがちですが、玄関で毎日起きるのは受け取りと施錠です。

困りごと 対応 費用の目安
郵便物を取るために段差を降りる 屋内から取れる位置にポストを移す 1万〜5万円(保険対象外)
宅配の応対で慌てて転倒する インターホンを室内の生活動線上に増設する 2万〜8万円(保険対象外)
鍵の開け閉めができない(握力の低下) レバーハンドル型・電子錠に変更 ハンドルは1万〜3万円(対象)
暗くて鍵穴が見えない センサーライト 2,000〜1万円

ドアノブをレバーハンドルに変更する工事は、扉の取り替えに伴う場合に介護保険の対象になります。 一方、ポストの移設やインターホンの増設は対象外です。

対象外ではありますが、費用の割に日常の負担が減る対策です。段差を解消する工事に数十万円かけるより、郵便物を取るために外に出る回数を減らすほうが、転倒の機会そのものを減らせる場合があります。工事の優先順位を考えるときに、この視点を入れてください。

マンションの玄関で特に注意する点

分譲マンションでは、玄関まわりの多くが共用部にあたります。

場所 一般的な区分 工事の可否
玄関扉の内側の室内・たたき 専有部 管理規約の範囲内で可能
上がり框・室内の段差 専有部 可能
玄関扉そのもの 共用部とされることが多い 管理組合の承認が必要
ドアノブ・鍵 扉に付随するため共用部の扱いが多い 管理組合に確認
外廊下・共用階段 共用部 管理組合の承認が必要
インターホン(親機・子機) 設備によって異なる 管理規約と設備の仕様を確認

玄関扉を引き戸に変えるのは、マンションではほぼ実現しません。 外観の統一性の観点から共用部として管理されているためです。「引き戸等への扉の取り替え」は介護保険の対象工事ですが、制度上対象であることと、実際に工事できることは別です。

一方、扉の内側の室内・たたきは専有部であることが一般的で、上がり框の段差解消や式台の設置、手すりの設置はできます。マンションの場合は、この範囲内で何ができるかを考えるほうが現実的です。

外廊下に手すりを付けたい場合は管理組合の承認が必要で、理事会が月1回しか開かれない管理組合では承認だけで1か月以上かかります。介護保険の事前申請とあわせると着工までに2か月近く見ておく必要があります。賃貸・マンション特有の制約はこちらの記事で整理しています。

まとめ

玄関の介護リフォームで押さえるべき点は4つです。

  1. 屋内側と屋外側で判断が変わる(手すりの費用が数倍違う)
  2. 上がり框は「段を分割する」(一段15cm程度が目安。式台の奥行きも見る)
  3. 靴の脱ぎ履きの場所を確保する(椅子を置くだけで解決する場合がある)
  4. 屋外は雨と凍結を前提に設計する(晴れた日の調査だけでは足りない)

置くだけの踏み台と据え置き型の手すりは福祉用具貸与で試せ、20万円の枠を消費しません。高さと位置が確定してから工事に移すと、作り直しを避けられます。

金額は公開されている費用情報にもとづく目安です。屋外の工事は敷地の条件によって大きく変わり、通路の舗装が対象になるかなどは自治体によって判断が分かれます。実際の判断にあたっては、担当のケアマネジャーとお住まいの市区町村の介護保険窓口にご確認ください。

よくある質問

玄関の介護リフォームはいくらかかりますか?
工事によって0.5万〜60万円と幅があります。上がり框に式台を置くだけなら0.5万〜10万円、手すりの設置が0.8万〜4万円、屋外スロープの新設になると10万〜60万円が目安です。ほとんどが介護保険の対象工事に該当します。
上がり框の段差は何cmまでなら大丈夫ですか?
一律の基準はありませんが、住宅では30cm以上ある例が珍しくなく、これを一段で上がるのは高齢になると大きな負担です。一段の高さを15cm程度に分割するよう踏み台を設けると昇降が楽になります。実際に上がってもらって判断してください。
玄関に手すりを付けるのは屋内と屋外で費用が違いますか?
違います。屋内側は壁の下地に固定できれば0.8万〜4万円程度ですが、屋外で固定できる壁や柱がない場合は支柱の基礎工事が必要になり、3万〜10万円の加算になります。
靴の脱ぎ履きはどうすればよいですか?
腰掛けを置くのが基本です。据え置き型のベンチなら1万〜7万円で、床に固定する造作なら住宅改修として扱われる場合があります。立ったまま片足で靴を履く動作は転倒のリスクが高いので、座る場所の確保を優先してください。
屋外スロープは介護保険の対象になりますか?
段差の解消として対象になります。ただし玄関から道路までのどこまでを「住宅」の範囲とみるかは自治体によって判断が分かれることがあります。通路の舗装が対象になるかも含めて、事前に窓口で確認してください。
玄関ドアを引き戸に変えられますか?
戸建てなら「引き戸等への扉の取り替え」として介護保険の対象です。ただし分譲マンションでは玄関扉が共用部として扱われることが多く、個人の判断では交換できません。管理組合の承認が必要になります。
雨の日に滑るのが心配です。何ができますか?
屋外はノンスリップ加工や溝切り仕上げの床材に変える工事が対象になります。加えて、庇を設けて濡れる範囲を減らす、落ち葉や苔を定期的に除去する、といった対応も有効です。スロープは傾斜があるため濡れると特に危険です。
工事の前に試せることはありますか?
あります。センサーライトの設置(数千円)、置くだけの踏み台や据え置き型手すりのレンタル(福祉用具貸与・月数百円〜)、段鼻に明度差のあるテープを貼る(数百円〜)です。段差そのものより「見えていないこと」が原因の場合があります。

この記事の作り方

制度の記述の確認日
2026年8月19日(厚生労働省の通知および下記の一次情報を参照)
この記事で扱っていないこと
  • 玄関ドアの製品比較
  • 外構工事の技術的な施工方法
  • 敷地の境界や道路に関する法令上の判断
立場
当サイトは施工を行いません。特定の業者を有利に扱う理由がないため、 工事を減らす選択肢(福祉用具・照明の改善など)も同じ比重で扱っています。 誤りのご指摘はお問い合わせから受け付け、修正時は更新日を改めます。

参考にした一次情報

  1. 厚生労働省「介護保険における住宅改修」
  2. 各市区町村が公開する居宅介護(介護予防)住宅改修費支給要綱

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