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介護リフォームの補助金|自治体独自の助成は最大200万円・105自治体調査
介護リフォームで使える公的支援は、介護保険の住宅改修費(上限20万円)だけではありません。市区町村の独自助成、障害者向けの制度、税の特例など、複数の制度が並行して存在します。
ただし、これらは所管が異なるため、ひとつの窓口ですべてを案内してもらえるとは限りません。ここでは制度の全体像を地図として整理します。
使える可能性のある4つの制度
| 制度 | 上限の目安 | 所管 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 介護保険の住宅改修費 | 20万円 | 市区町村の介護保険担当 | 要支援・要介護認定者 |
| 市区町村の独自助成 | 自治体により大きく異なる | 市区町村の高齢福祉担当等 | 自治体が定める要件 |
| 障害者総合支援法の住宅改修費 | 自治体により異なる | 市区町村の障害福祉担当 | 障害者手帳の所持者等 |
| 所得税・固定資産税の特例 | 減税(支出ではなく税の軽減) | 税務署・市区町村の税担当 | 一定要件のバリアフリー改修 |
図:介護リフォームに使える4つの制度と、その管轄
1. 介護保険の住宅改修費(基本の制度)
もっとも中心になる制度です。
- 対象は6種類の工事に限定(手すり・段差解消・床材変更・扉の取り替え・便器の取り替え・付帯工事)
- 支給限度基準額は1人につき20万円
- 支給されるのは、20万円までの工事費から自己負担割合(1〜3割)を除いた額
- 着工前の申請が必須
詳しくは対象6種類の記事と申請の流れの記事で解説しています。
2. 市区町村の独自助成(見落とされやすい)
多くの市区町村が、介護保険とは別に高齢者向けの住宅改修助成を設けています。名称は「高齢者住宅改修費助成」「住環境整備事業」「住宅改造助成」など自治体によってさまざまです。
図:独自助成を調べるときの、具体的な聞き方
内容の幅が非常に大きいのがこの制度の特徴です。
| タイプ | 内容 |
|---|---|
| 上乗せ型 | 介護保険の20万円に加えて、さらに助成する |
| 対象拡大型 | 介護保険では対象外の工事(浴槽交換、階段昇降機など)を独自に対象にする |
| 対象者拡大型 | 要介護認定を受けていない高齢者も対象にする |
| 所得制限型 | 一定所得以下の世帯に限定して手厚く助成する |
105自治体を調べた結果、上限は0円から200万円まで開いていました
「自治体によって違う」とだけ言われても判断できないので、政令指定都市20市・中核市62市・東京都特別区23区の計105自治体について、当サイトで公式サイトを1件ずつ確認しました。抽出やサンプリングはしていません。
| 結果 | |
|---|---|
| 独自の助成があった自治体 | 74 / 105 |
| 確認できた制度の数 | 94本 |
| 上限額の最高 | 200万円(江戸川区) |
| 上限が100万円以上の自治体 | 13 |
| 独自の制度を確認できなかった自治体 | 31 |
上限額の上位はこうなっていました。
| 自治体 | 上限 | 内訳 |
|---|---|---|
| 江戸川区 | 200万円 | 段差解消機・階段昇降機・ホームエレベーターの設置 |
| 中央区 | 185.4万円 | 階段昇降機(曲線) |
| 足立区 | 133.2万円 | 階段昇降機(要介護4・5の方) |
| 横浜市 | 120万円 | 住環境整備費の助成 |
| 川崎市・浜松市・神戸市・千代田区・台東区・練馬区・金沢市・西宮市・姫路市 | 各100万円 | ─ |
介護保険の20万円に対して、最大で10倍です。同じ工事でも、住んでいる市区町村によって使える金額がまったく違うという状態になっています。
金額は「上限額」であって、必ずもらえる額ではありません。助成率が所得によって変わる制度がほとんどです。仙台市は工事費の4分の3、京都市は3分の2、広島市は生活保護世帯5/5・非課税世帯3/5・所得割9万円以下2/5と段階が分かれています。所得制限や市民税非課税の要件が付く制度が大半なので、金額だけを見て判断しないでください。
金額より先に確認すべきは「介護保険と併用できるか」
実務でいちばん効くのはここです。同じ「住宅改修の助成」でも、介護保険との関係が自治体によって違います。
| 扱い | 自治体数 | 意味 |
|---|---|---|
| 併用できると明記 | 30 | 介護保険の20万円を使ったうえで、さらに助成を受けられる |
| 介護保険が優先 | 23 | 介護保険の対象になる工事は、独自助成の対象外になる |
仙台市は「全体の工事費から上限20万円を差し引いた額」が助成対象、大阪市は「介護保険の支給対象とならない部分」を給付する設計です。一方で福岡市は「介護保険住宅改修費の給付対象となる工事は原則、対象外」と明記しています。
練馬区は、設備の項目ごとに併用の可否が違います。浴槽の取替と便器の洋式化は介護保険と併用可、流し・洗面台の取替、玄関造作物の撤去、昇降機の設置は併用不可と、区が項目別に明示しています。「この区は併用できる」と一括りにできません。工事の内容ごとに確認が必要です。
要介護認定を受けていなくても使える制度が28自治体ありました
介護保険の住宅改修は、要支援・要介護の認定を受けていないと使えません。しかし105自治体のうち28自治体には、認定が「非該当」の方を対象にした制度がありました。介護保険の谷間を埋める設計です。
ただし条件が付きます。さいたま市は「市内に1年以上居住する65歳以上で、要介護・要支援の認定を受けていない方」かつ基本チェックリストの該当が必要です。京都市は基本チェックリストで運動器機能低下と判定されたうえで市民税非課税世帯であること、さらに地域包括支援センターのアセスメントが要ります。
荒川区には「70歳以上で介護認定を受けたことがない方」向けの転倒防止用手すり設置給付(6万円)もありました。
105自治体の一覧は自治体独自の住宅改修助成の調査にまとめています。制度名・上限額・対象者・所得要件・介護保険との併用可否・出典URLを載せています。
探すときのコツ
自治体のサイトを自分で探す場合、「住宅改修 助成」だけでは見つからないことがあります。「高齢者 住宅改造」「自立支援 住宅改修」「住環境整備」「住宅改修費給付」でも検索してみてください。呼び方が自治体ごとに違います。
制度がどこに置かれているかも自治体によって違います。大分市は高齢福祉ではなく住宅部門(くらし>住まい>改修・リフォーム支援)にあり、介護保険や高齢福祉のページからは一切たどれませんでした。世田谷区は区の公式サイト内で「住宅改修 助成金」を検索すると省エネ住宅の補助金が先に出てきて、高齢者向けの制度は下のほうにあります。
確認するときの聞き方
介護保険の窓口で相談する際、次のように尋ねてください。
「介護保険の住宅改修とは別に、市(区・町・村)独自の住宅改修の助成制度はありますか。高齢福祉の担当課で扱っている制度があれば教えてください」
介護保険の担当課と高齢福祉の担当課が分かれている自治体では、介護保険の窓口だけでは独自制度の案内をされないことがあります。この一言を足すかどうかで、使える予算が変わることがあります。
独自助成は予算枠が決まっていて、年度途中で終了することがあります。 検討している場合は早めに窓口へ確認してください。また、介護保険の事前申請と同時に手続きが必要な場合もあるため、工事の前に必ず相談を。
3. 障害者総合支援法の住宅改修費
障害者手帳をお持ちの場合、障害福祉の側の制度が使えることがあります。
- 市区町村が実施する地域生活支援事業の一環として行われるため、内容は自治体ごとに異なります
- 対象工事の範囲が介護保険より広い場合があります
- 所得に応じた自己負担が設定されているのが一般的です
介護保険が使える場合は介護保険が優先されるのが原則ですが、介護保険で対象外となる工事について障害福祉の制度が使える、というケースがあります。
障害者手帳をお持ちの方は、市区町村の障害福祉担当課にも確認してください。
4. 税の特例(減税)
改修費の支給ではなく、税が軽くなる制度です。
所得税の控除
一定の要件を満たすバリアフリー改修工事について、所得税の控除を受けられる制度があります。
- 借入金を利用する場合と、自己資金の場合で、それぞれ別の制度があります
- 対象となるのは、50歳以上の方、要介護・要支援認定を受けている方、障害者、これらの方と同居する親族などが居住する住宅の改修
- 補助金等を受けた部分は、控除の計算から差し引きます
確定申告が必要です。詳細は税務署または国税庁のウェブサイトでご確認ください。
固定資産税の減額
一定の要件を満たすバリアフリー改修を行った住宅について、翌年度の固定資産税が一定割合減額される制度があります。
- 工事完了後3か月以内に市区町村へ申告する必要があります
- 新築後一定年数が経過していることなどの要件があります
申告期限が短いため、工事を終えたら早めに市区町村の税担当課へ確認してください。ここは工事の「あと」の手続きなので、忘れやすい部分です。
併用できるのか
制度ごとに考え方が異なるため、一律には言えませんが、実務上の目安は次のとおりです。
図:介護保険と独自助成を併用した場合の負担イメージ
| 組み合わせ | 併用 |
|---|---|
| 介護保険 + 市区町村の独自助成 | 上乗せ型なら可能なことが多い |
| 介護保険 + 障害者総合支援法 | 同じ工事には原則不可(介護保険が優先) |
| 介護保険 + 税の特例 | 可能(ただし補助を受けた分は控除の計算から除く) |
| 市区町村の独自助成 + 税の特例 | 可能なことが多い |
| 介護保険 + 福祉用具貸与/特定福祉用具販売 | 可能(それぞれ別枠) |
同じ工事に対して2つの補助を重ねて受けることは、原則としてできません。一方、補助と減税は性質が違うため、併用できるのが一般的です。
正確な判断は自治体・税務署によりますので、必ず事前に確認してください。
窓口を回るときの順番
制度が分散しているため、次の順で確認すると漏れが出にくくなります。
図:窓口を回る順番(この順なら手戻りが出にくい)
| 順 | 窓口 | 確認すること | タイミング |
|---|---|---|---|
| 1 | 担当のケアマネジャー | 全体の相談。理由書の作成 | 工事の前 |
| 2 | 市区町村の介護保険担当課 | 住宅改修費の申請、受領委任払いの可否 | 工事の前 |
| 3 | 市区町村の高齢福祉担当課 | 独自助成の有無と要件 | 工事の前 |
| 4 | 市区町村の障害福祉担当課 | 手帳をお持ちの場合 | 工事の前 |
| 5 | 市区町村の税担当課 | 固定資産税の減額(3か月以内) | 工事の後 |
| 6 | 税務署 | 所得税の控除(確定申告時) | 工事の後 |
1〜4は工事の前に、5〜6は工事の後に確認する、と覚えておくと順番を間違えません。
対象外だった工事に使える可能性
介護保険で対象外になった工事も、他の制度で救える場合があります。
| 介護保険で対象外 | 可能性のある制度 |
|---|---|
| 階段昇降機・段差解消機 | 市区町村の独自助成、福祉用具貸与(移動用リフト) |
| 浴槽の交換 | 市区町村の独自助成、特定福祉用具販売(浴槽台等で代替) |
| 洗浄便座への交換 | 市区町村の独自助成 |
| 据え置き型手すり・スロープ | 福祉用具貸与 |
| 老朽化の補修を含む改修 | 税の特例(要件を満たす場合) |
対象外になる工事の詳細はこちらの記事で7分類にまとめています。
独自助成には「年度予算」がある
市区町村の独自助成でもっとも見落とされやすいのが、年度ごとの予算枠です。介護保険の住宅改修と違い、独自助成は自治体の一般財源から出ていることが多く、その年度の予算が尽きると受付が終わります。
図:独自助成は、年度のどこで相談するかで通りやすさが変わる
そのため、次のような制約が付くことがあります。
| よくある制約 | 内容 |
|---|---|
| 予算がなくなり次第終了 | 年度の後半は受け付けていないことがある |
| 年度内に工事完了が条件 | 3月末までに完了報告が必要 |
| 申請期間が限定されている | 4〜6月のみ受付、など |
| 抽選・先着順 | 応募多数の場合に選考がある |
| 事前相談が必須 | 申請の前に窓口での相談が要件 |
年度が替わった直後(4〜6月)がもっとも枠に余裕がある時期です。急がない工事であれば、この時期に申請するほうが通りやすいことがあります。
逆に、年明け(1〜3月)は予算が尽きているうえ、年度内完了を求められると工期も厳しくなります。この時期に相談する場合は、「次年度の受付はいつからか」もあわせて聞いておくと、待つ判断ができます。
減税の手続きは、期限が短いものがある
税の特例は、工事が終わってから手続きします。ただし期限に差があるため、注意が必要です。
図:減税は2つ。期限がまったく違う
| 制度 | 手続きの時期 | 窓口 |
|---|---|---|
| 所得税の控除 | 工事した年の翌年の確定申告 | 税務署 |
| 固定資産税の減額 | 工事完了後3か月以内の申告 | 市区町村の資産税担当課 |
固定資産税の減額は、期限が3か月と短い点に注意してください。工事が終わって落ち着いた頃には過ぎている、ということが起こります。工事の契約時点で、業者に「固定資産税の減額申告に必要な書類を出せますか」と確認しておくと安全です。
必要になる書類は、おおむね次のとおりです。
- 工事の内容が分かる明細書
- 工事箇所の写真(改修前・改修後)
- 工事費用の領収書
- 介護保険の被保険者証の写し
- 増改築等工事証明書または建築士等が発行する証明書(制度により)
いずれの制度も、要件(対象になる工事の種類、床面積、築年数、所得の上限など)が細かく定められています。適用できるかどうかは、税務署または市区町村の資産税担当課に個別に確認してください。制度の内容は改正されることがあるため、工事の時点での最新の要件を確認する必要があります。
制度を探すときに使える窓口の一覧
どこに聞けばよいか分からなくなったときのために、窓口を整理します。
| 聞きたいこと | 窓口 |
|---|---|
| 介護保険の住宅改修全般 | 担当のケアマネジャー/市区町村の介護保険担当課 |
| 市区町村の独自助成 | 高齢福祉の担当課 |
| 障害者向けの制度 | 障害福祉の担当課 |
| どこに相談すればよいか分からない | 地域包括支援センター |
| 所得税の控除 | 所轄の税務署 |
| 固定資産税の減額 | 市区町村の資産税担当課 |
| 業者とのトラブル | 消費生活センター(消費者ホットライン188) |
判断に迷ったときの最初の窓口は、地域包括支援センターです。 中学校区ごとに設置されており、介護保険の対象になる前の段階からでも相談できます。制度の入口が分からない状態でも、適切な窓口につないでもらえます。
なお、ここで挙げた制度の要件・金額・受付時期は、いずれも自治体や年度によって異なります。実際の申請にあたっては、必ずお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
まとめ
介護リフォームで使える支援は、介護保険の20万円だけではありません。とくに市区町村の独自助成は自治体差が大きく、確認しないと存在にすら気づかないことがあります。
押さえるべき点は次の3つです。
- 介護保険の窓口で「市独自の助成制度はありますか」と必ず尋ねる(担当課が分かれていることがある)
- 工事の前に1〜4の窓口、工事の後に5〜6の窓口という順番を守る
- 固定資産税の減額は工事完了後3か月以内(期限が短い)
なお、制度の内容・上限額・要件は自治体ごとに異なり、また年度によって変更されます。この記事は制度の全体像を示すものであり、個別の適用可否については必ずお住まいの市区町村の各担当窓口にご確認ください。
よくある質問
介護リフォームで使える制度は介護保険だけですか?
市区町村の独自助成はどれくらいもらえますか?
独自助成があるかどうかはどう確認すればよいですか?
介護保険と市区町村の助成は併用できますか?
減税制度はいつ手続きしますか?
障害者手帳を持っている場合はどうなりますか?
独自助成には予算の上限がありますか?
この記事の作り方
- 制度の記述の確認日
- 2026年9月2日(厚生労働省の通知および下記の一次情報を参照)
- この記事で扱っていないこと
- 政令指定都市・中核市・東京23区以外の自治体の助成制度
- 税額の具体的な計算
- 確定申告の手続きの詳細
- 立場
- 当サイトは施工を行いません。特定の業者を有利に扱う理由がないため、 工事を減らす選択肢(福祉用具・照明の改善など)も同じ比重で扱っています。 誤りのご指摘はお問い合わせから受け付け、修正時は更新日を改めます。
参考にした一次情報
- 厚生労働省「介護保険における住宅改修」
- 国税庁「バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」
- 各市区町村が公開する高齢者住宅改修費助成・住宅改造助成の要綱
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