介護リフォームの補助金は介護保険だけ?自治体の助成と減税を整理

介護リフォームで使える公的支援は、介護保険の住宅改修費(上限20万円)だけではありません。市区町村の独自助成、障害者向けの制度、税の特例など、複数の制度が並行して存在します。

ただし、これらは所管が異なるため、ひとつの窓口ですべてを案内してもらえるとは限りません。ここでは制度の全体像を地図として整理します。

使える可能性のある4つの制度

制度 上限の目安 所管 対象
介護保険の住宅改修費 20万円 市区町村の介護保険担当 要支援・要介護認定者
市区町村の独自助成 自治体により大きく異なる 市区町村の高齢福祉担当等 自治体が定める要件
障害者総合支援法の住宅改修費 自治体により異なる 市区町村の障害福祉担当 障害者手帳の所持者等
所得税・固定資産税の特例 減税(支出ではなく税の軽減) 税務署・市区町村の税担当 一定要件のバリアフリー改修

1. 介護保険の住宅改修費(基本の制度)

もっとも中心になる制度です。

  • 対象は6種類の工事に限定(手すり・段差解消・床材変更・扉の取り替え・便器の取り替え・付帯工事)
  • 支給限度基準額は1人につき20万円
  • 支給されるのは、20万円までの工事費から自己負担割合(1〜3割)を除いた額
  • 着工前の申請が必須

詳しくは対象6種類の記事申請の流れの記事で解説しています。

2. 市区町村の独自助成(見落とされやすい)

多くの市区町村が、介護保険とは別に高齢者向けの住宅改修助成を設けています。名称は「高齢者住宅改修費助成」「住環境整備事業」「住宅改造助成」など自治体によってさまざまです。

内容の幅が非常に大きいのがこの制度の特徴です。

  • 介護保険の20万円に上乗せする形の助成
  • 介護保険では対象外の工事(浴槽交換、階段昇降機など)を独自に対象にしているもの
  • 要介護認定を受けていない高齢者も対象にしているもの
  • 所得制限があるもの、ないもの

上限額も、数万円から100万円超まで自治体によって大きく異なります。同じ工事でも、住んでいる市区町村によって使える金額がまったく違うという状態です。

確認するときの質問

介護保険の窓口で相談する際、次のように尋ねてください。

「介護保険の住宅改修とは別に、市(区・町・村)独自の住宅改修の助成制度はありますか。高齢福祉の担当課で扱っている制度があれば教えてください」

介護保険の担当課と高齢福祉の担当課が分かれている自治体では、介護保険の窓口だけでは独自制度の案内をされないことがあります。この一言を足すかどうかで、使える予算が変わることがあります。

独自助成は予算枠が決まっていて、年度途中で終了することがあります。 検討している場合は早めに窓口へ確認してください。また、介護保険の事前申請と同時に手続きが必要な場合もあるため、工事の前に必ず相談を。

3. 障害者総合支援法の住宅改修費

障害者手帳をお持ちの場合、障害福祉の側の制度が使えることがあります。

  • 市区町村が実施する地域生活支援事業の一環として行われるため、内容は自治体ごとに異なります
  • 対象工事の範囲が介護保険より広い場合があります
  • 所得に応じた自己負担が設定されているのが一般的です

介護保険が使える場合は介護保険が優先されるのが原則ですが、介護保険で対象外となる工事について障害福祉の制度が使える、というケースがあります。

障害者手帳をお持ちの方は、市区町村の障害福祉担当課にも確認してください。

4. 税の特例(減税)

改修費の支給ではなく、税が軽くなる制度です。

所得税の控除

一定の要件を満たすバリアフリー改修工事について、所得税の控除を受けられる制度があります。

  • 借入金を利用する場合と、自己資金の場合で、それぞれ別の制度があります
  • 対象となるのは、50歳以上の方、要介護・要支援認定を受けている方、障害者、これらの方と同居する親族などが居住する住宅の改修
  • 補助金等を受けた部分は、控除の計算から差し引きます

確定申告が必要です。詳細は税務署または国税庁のウェブサイトでご確認ください。

固定資産税の減額

一定の要件を満たすバリアフリー改修を行った住宅について、翌年度の固定資産税が一定割合減額される制度があります。

  • 工事完了後3か月以内に市区町村へ申告する必要があります
  • 新築後一定年数が経過していることなどの要件があります

申告期限が短いため、工事を終えたら早めに市区町村の税担当課へ確認してください。

併用できるのか

制度ごとに考え方が異なるため、一律には言えませんが、実務上の目安は次のとおりです。

組み合わせ 併用
介護保険 + 市区町村の独自助成 上乗せ型なら可能なことが多い
介護保険 + 障害者総合支援法 同じ工事には原則不可(介護保険が優先)
介護保険 + 税の特例 可能(ただし補助を受けた分は控除の計算から除く)
市区町村の独自助成 + 税の特例 可能なことが多い

同じ工事に対して2つの補助を重ねて受けることは、原則としてできません。一方、補助と減税は性質が違うため、併用できるのが一般的です。

正確な判断は自治体・税務署によりますので、必ず事前に確認してください。

窓口を回るときの順番

制度が分散しているため、次の順で確認すると漏れが出にくくなります。

  1. 担当のケアマネジャー — 全体の相談窓口。理由書の作成も担当
  2. 市区町村の介護保険担当課 — 住宅改修費の申請、受領委任払いの可否
  3. 市区町村の高齢福祉担当課 — 独自助成の有無と要件
  4. 市区町村の障害福祉担当課 — 手帳をお持ちの場合
  5. 市区町村の税担当課 — 固定資産税の減額(工事完了後3か月以内)
  6. 税務署 — 所得税の控除(確定申告時)

1〜4は工事の前に、5〜6は工事の後に確認する、と覚えておくと順番を間違えません。

まとめ

介護リフォームで使える支援は、介護保険の20万円だけではありません。とくに市区町村の独自助成は自治体差が大きく、確認しないと存在にすら気づかないことがあります。

介護保険の窓口で相談する際は、必ず**「市独自の助成制度はありますか」**と一言添えてください。これだけで、使える予算が数十万円変わることがあります。

なお、制度の内容・上限額・要件は自治体ごとに異なり、また年度によって変更されます。この記事は制度の全体像を示すものであり、個別の適用可否については必ずお住まいの市区町村の各担当窓口にご確認ください。